このように漢方的アプローチは病名ではなく、時系列を遡りながら、何が根本原因なのかを探ることで、治療方針を決定します。
西洋医学と漢方を併用する場合も
西洋医学的アプローチと漢方的アプローチは二律背反ではありません。場合によっては併用する場合もあります。漢方クリニックを受診した場合、抗うつ薬が必要な患者さんに、漢方医がそのように判断し、西洋医学的治療を優先するように助言することもあります。西洋医学の医療機関を受診した場合でも漢方薬を処方されることもあります。
私の診療所に来院されるこころの不調の患者さんで、すでに心療内科や精神科にかかっている場合、そのクリニックと連携してこれまでの服薬状況などを確認しながら治療方針を検討していくことになります。
漢方薬と抗うつ薬を併用している場合は抗うつ薬を徐々に減量して漢方薬だけにしていき、やがては漢方薬もやめる、というのが理想です。

※『メンタル漢方 体にやさしい心の治し方』(朝日新聞出版)から一部抜粋