CMの制作発表で一堂に会した、ザ・ドリフターズのメンバー。左から高木ブー、仲本工事、加藤茶、志村けん
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 6日放送の「今夜復活『8時だョ!全員集合』ドリフ伝説コント20連発」(TBS系・午後7時~)は、昭和伝説の人気バラエティ「8時だョ!全員集合」が復活。全員集合第1回の公開収録が行われた三鷹市公会堂に、ドリフ好き芸能人とドリフ世代から令和の親子約300人が集合!超貴重映像の中から厳選された伝説コントを紹介する。ザ・ドリフターズの1人、志村けんについて、特に読まれた記事を振り返る(この記事は「AERA dot.」に2022年1月1日に掲載されたものの再配信です。本文中の年齢、肩書等は当時のもの)。

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 2020年3月に志村けんさんが亡くなってから、テレビでは彼やザ・ドリフターズに関する特番がたびたび放送されてきた。そのほとんどは、過去に放送された彼らのコントの映像を中心にして構成されていた。

 そんな中で、一風変わった切り口のドリフ番組がオンエアされて話題を呼んでいた。2021年12月27日放送の『志村けんとドリフの大爆笑物語』(フジテレビ)である。この番組では志村けんという芸人の半生がドラマという形で描かれている。俳優がドリフのメンバーを演じて、彼らが長年にわたって日本中を熱狂させたコントを作ってきた舞台裏が明かされている。

 ただ、この番組が変わっているのは、ドラマの中に独立した形でコントのシーンが数多く用意されているところだ。そこでは、ヒゲダンス、東村山音頭、変なおじさんなど、志村やドリフの名作コントが忠実に再現されている。

 演じているのはドリフ役の俳優だが、それ以外の衣装、セット、カメラアングルなどはすべて本物そっくりに精巧に作り込まれている。さらに、テレビコントには付き物の「笑い声の効果音」まで加えられている。

 漫画作品などが実写化されるときに、原作のファンから「思っていたのと違う」などと批判を受けることがある。このような批判が起きる背景にあるのは、そもそも漫画という「紙媒体」とドラマ・映画という「映像媒体」が全く性質の異なるものだからだ。

 その点、今回の『志村けんとドリフの大爆笑物語』のコントパートが斬新だったのは、テレビ番組の中で「テレビコント」の再現をしていたということだ。媒体そのものが同じなのだから、作り手の努力次第で限りなく本物に寄せることができる。

 脚本・演出を務めた福田雄一はコメディ系の作品を数多く手がけており、『となりのシムラ』(NHK)では志村本人と仕事をした経験もある。そんな彼が、思い入れたっぷりにドリフのコントの世界を精巧に再現していた。

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