しかしながら、これまで 95%以上の高い接種率が得られていた第 1 期の接種率が、2021 年度は93.5%に低下し、2022 年度には 95.4%と上昇したものの、2023年度は94.9%に再び低下してしまいました。さらに、95%に[※11] 達しない地域も数多く認めるようになっています。このままでは、日本でも麻しんの免疫を持たない人が増え、ワクチン接種が不十分な地域で麻疹が流行する可能性が危惧されているのです。
「間違いなく、ワクチン未接種者によって(今のアメリカにおける麻しんの流行が)引き起こされ、始まった。」
そう指摘するのは、遠隔医療会社eMedの最高科学責任者であるマイケル博士です。
今年3月27日時点で報告されているアメリカにおける483件の麻しん感染者の年齢分布は、5歳未満が33%、5歳から19歳が42%、20歳以上が23%であり、ワクチン接種状況は、未接種または不明が97%、MMR1回接種が1%、MMR2回接種が2%と、感染例のほとんどはワクチン未接種者、または接種状況が不明な人であることがわかります。さらに、最初の死亡として確認されたテキサス州の死亡者(学齢期の児童であり基礎疾患なし)も、MMRワクチン未接種であったことが明らかになっています。
ワクチンを避ける3つの壁
「ワクチン忌避」に関わる要因は、主に3つあると言われています。「信用」「利便性」そして「ワクチン接種に対する自己満足」です。
一つ目の「信用」ですが、政府や医療に対する不信、ワクチンの有効性や安全性に対する不信は、ワクチン接種を進めるうえで障壁となる可能性が指摘されています。これまでに、「政府を信頼している」と答えた人は「信頼していない」と答えた人よりも、ワクチンを受け入れる可能性が高かったことが医学論文で報告されています。
二つ目の「利便性」として、接種場所や時間、価格、接種サービスの質、接種の予約などが挙げられます。例えば、コロナワクチンを例に挙げてみましょう。パンデミックの時は、対象者であれば全額無料で接種できていましたが、今では定期接種の対象者以外は自己負担となっており、1回あたり1万5300円程度かかってしまいます。高額な費用を請求されるとなると、自然と足は遠のき、利便性は下がってしまうと言わざるを得ません。