が、ヤフーやラインなどのサービスとの有機的な結合は途上で、スーパーアプリにはまだなっていない。

 そうしたなかで、昨年11月から、公正取引委員会は、ニュース配信の分野で反競争的な不公正がないか、ヤフーを標的とした大規模な調査を始めている。

 文庫の新章では、そうした調査がなぜ、今行われているかを、世界的な独占禁止法の解釈の変更という流れのなかで書いている。

 ネオ・ブランダイス学派という独占禁止法の新思潮を主張する研究者がバイデン政権で、規制当局入りした。そうした世界的流れのなかで起こっているできごとだが、日本の新聞各社がどう行動しているかなど、あとは、文庫で──。

下山 進(しもやま・すすむ)/ ノンフィクション作家・上智大学新聞学科非常勤講師。メディア業界の構造変化や興廃を、綿密な取材をもとに鮮やかに描き、メディアのあるべき姿について発信してきた。他の著書に『アルツハイマー征服』(KADOKAWA)など。

週刊朝日  2023年4月28日号

著者プロフィールを見る
下山進

下山進

1993年コロンビア大学ジャーナリズム・スクール国際報道上級課程修了。文藝春秋で長くノンフィクションの編集者をつとめた。聖心女子大学現代教養学部非常勤講師。2018年より、慶應義塾大学総合政策学部特別招聘教授として「2050年のメディア」をテーマにした調査型の講座を開講、その調査の成果を翌年『2050年のメディア』(文藝春秋、2019年)として上梓した。著書に『アメリカ・ジャーナリズム』(丸善、1995年)、『勝負の分かれ目』(KADOKAWA、2002年)、『アルツハイマー征服』(KADOKAWA、2021年)、『2050年のジャーナリスト』(毎日新聞出版、2021年)。標準療法以降のがんの治療法の開発史『がん征服』(新潮社)が発売になった。元上智大新聞学科非常勤講師。

下山進の記事一覧はこちら