
企業CEOのロミー(ニコール・キッドマン)はキャリアも家庭も手に入れた誰もがうらやむ成功者。だが常に満たされない渇きを抱えていた。あるとき、インターンのサミュエル(ハリス・ディキンソン)に出会い──!? 女性の目線から官能を描く新時代のエロティック・エンターテインメント「ベイビーガール」。脚本も務めたハリナ・ライン監督に本作の見どころを聞いた。
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本作のはじまりは自分自身が感じていた「女性像の揺らぎ」です。リーダー的な立場になってお金を稼ぐことのできる強い存在になりたいと願う一方で、男性を前にするとベイビーガール(従順で可愛い、の意)な側面が出てきてしまったりする。相反するものが自分のなかに存在する葛藤に向き合ったとき「この感覚は多くの女性に共通するのでは?」と気づいたのです。#MeTooムーブメントにも大きな影響を受け助けられました。
主人公ロミーはCEOとして権力を持ちつつ満たされない渇きを抱えています。演じるニコール・キッドマンとは多くの会話をしました。更年期障害、50歳を超えるとセックスの対象として見られないこと、女性は鏡を見るとき自分を見つつ「男性から見られている自分」を意識してしまっているのでは?……などです。私自身も本作で「女性とは何か」を整理し「自分の全てをいかに愛し、解放できるか」を問うことができました。自分の女優としての経験も創作のベースとなっています。私は「自分がこう演出してもらいたかった」監督を目指しているのです。

本作への女性たちからの反応は印象的でした。「これまで内に秘めていたことを話すきっかけになった」という方が多かったのです。あるテレビ番組で出演者の女性たちが「この映画をきっかけにセックスやオーガズムについてオープンに語る」という企画を見たときはとても誇らしかったです。
今年はデミ・ムーア主演の「サブスタンス」も話題です。この年代の女優たちがこうしたテーマで活躍していることが嬉しいです。世の中は確実に変化していますが、やはりまだ男性目線で構成されている。それをいかに取り払い、女性たちが自分らしさを追求できるかが本作のテーマでもあります。
(取材/文・中村千晶)
※AERA 2025年4月7日号