それぞれの指数のパフォーマンスも、先ほど同様に連動ETFで比較した(図表6)。5年のトータルリターンで見ると、NYSE FANG+が最もパフォーマンスがよく、半導体株価指数やNASDAQ100も好調なことがわかる。ここでもNifty 50は成績が奮わず、MSCI ACWIやS&P500も下回った。

 リターンだけではなく、そのリターンを得るのにどのくらいのリスクがあったのかも合わせて確認しよう。指数の折れ線グラフにも現れていたとおり、やはり米国テック系の指数はリターンが得られる分リスクも大きいことがわかる。

 注目したいのが、リターンをリスクで割った「リスク効率」だ。リスクに見合ったリターンが上げられているかどうかがわかる。5年に注目すると、最も効率が良いといえるのがNYSE FANG+で、次にNASDAQ100、S&P500と続く。リスク効率という側面からいえば、半導体株価指数よりもS&P500のほうが良いともいえる。

 各項目を大きい順に並べると次のとおり。

トータルリターン(年率/5年)
 NYSE FANG+>半導体株価指数>NASDAQ100>S&P500>MSCI ACWI>Nifty 50

リスク(年率/5年)
 半導体株価指数>NYSE FANG+>NASDAQ100>Nifty 50>S&P500>MSCI ACWI

リスク効率(5年)
 NYSE FANG+>NASDAQ100>S&P500>半導体株価指数>MSCI ACWI>Nifty 50

 以上より、積極的にリターンを狙うならNYSE FANG+またはNASDAQ100に期待できそうだ。半導体株価指数はリターンが大きい分リスクも大きく、足下ではリスク効率が良いとはいえないが、今後も半導体は欠かせないため需要は減らないだろう。

 「半導体株価指数の直近の値下がりは、期待されすぎたためであると考えられます。半導体株価指数はまだ伸びると予想できるので、成長に期待して投資するのもいいかもしれません。なお、過去のパフォーマンスが将来の保証・予測をするものではありません。NYSE FANG+も同様の傾向になる可能性もあります。グラフを見ると、足元は下落傾向です」

 S&P500かオルカンかにかかわらず、自分のリスク許容度に合致した投資先を見極めたい。

(ライター・吉村しおん)

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