
日本酒人気が海外に広がり、外国人観光客が日本酒を求めてお店に大挙してやって来ている。なぜ日本酒が人気なのか、いまの日本酒のトレンドは何か、そして日本酒の未来はどうなるのか。AERA 2025年3月31日号より。
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東京駅はここから日本各地へ出かける外国人観光客が多い。その地にお店を構えるはせがわ酒店にインバウンド需要などについて聞いた。
「時期や時間帯にもよりますが、平日の午前中などは体感的に3~4割ほどが海外からのお客様です」と話してくれたのは広報担当の長谷川ききょうさんである。
同店にはテイスティングBARも併設されており、こちらは約半数を外国人観光客が占めることもあるそうだ。
同店は東京駅構内にあることから、新幹線など電車での長距離移動の際に車内で楽しむのにちょうどよい180mlや300mlサイズの日本酒も扱っている。
お店に来る外国人が好む日本酒の傾向として、アジア系の人には、「日日(にちにち)」や「而今(じこん)」の他、ゆずを使用した日本酒ベースのリキュールが人気で、欧米系の人は銘柄よりフルーティーやドライなど、味わいを重視しているとのことだ。その上ではせがわ酒店のおすすめを聞いた。
「まずは『播州一献 純米吟醸 山田穂』です。酒米としてよく知られる山田錦のルーツ山田穂を使った新商品です」
続いて「文佳人 辛口純米」をおすすめしてくれた。こちらはキレのよい辛口でありながら、爽やかな香りがモダンな印象を与え、ドライなお酒をお求めの方におすすめしたいと長谷川さんは太鼓判を押した。
日本酒はバリエーションが広がり、あらゆる嗜好に応え、まだまだ需要が増していくだろうと長谷川さんは日本酒の未来に期待を寄せた。
個性が磨かれていく
なぜこれほど日本酒の人気が高まっているのか、その背景などを日本酒ソムリエで日本酒酒場「EUREKA!」のオーナーでもある千葉麻里絵さんに聞いた。
「今から20年くらい前はフルーティーできれいなお酒が人気でした。精米歩合によって、吟醸、大吟醸とありますが、磨けば磨くほどきれいな味になり、大差がなくなるのです。逆に言えば磨いていない場合は個性が出やすいともいえます」と話し始めた。きれいなお酒は満足感があるが、快感がないと千葉さんは感じている。