昨夏、宇野は北京五輪から約二年半経ってようやく行われた団体のメダル授与式を、アイスショーの予定があったため欠席している。そのアイスショーは、ランビエールが教えるスイス・シャンペリーにあるスケート学校の10周年を祝う「魔法使いの弟子」だったのだ。

 会見では、ラトビアにいるというランビエールから届いたビデオメッセージが披露された。

「私はあなたのこと、そして今回のアイスショーを、とても誇らしく思っているよ。日本でのショーでベストを尽くせることを願っているし、一緒に滑るのがとても楽しみだよ。仲間たちと一緒に素晴らしい作品にしよう!」

 宇野とランビエールの共演といえば、2018年「フレンズオンアイス」で披露した「四季」が印象に残る。それぞれが競技プログラムの一部を滑った後、ランビエールの振付によるコラボレーションで締め括った「四季」に、観客は熱い拍手を送っていた。今回のアイスショーでも、師弟のコラボレーションが観られるかもしれない。

「これまで以上に自分を磨きながら、そして観てもらえる人たちのことも考えながら、このショーを6月まで作り上げていけたら」

 そう語る宇野の思いが詰まったアイスショーは、6月14日、宇野の地元・愛知で幕を開ける。(文中敬称略)

(文・沢田聡子)

沢田聡子/1972年、埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、出版社に勤めながら、97年にライターとして活動を始める。2004年からフリー。フィギュアスケート、アーティスティックスイミング、アイスホッケー等を取材して雑誌やウェブに寄稿している。2022年北京五輪を現地取材。Yahoo!ニュース エキスパート「競技場の片隅から」    
 

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