それから1年、今感じるのは出会いへのハードルだと言う。「“婚活というもの”にも、初めてトライしてみたんです。いわば家庭をともに持つことを目的とした関係づくり。こんなに不自然なものなんだなって……。なんだか“好きか嫌いか”ではなくなっていくんですよね」

 誰かと出会って、その人との間に子どもを持つ未来を信じたいとの気持ちは変わらない。家族という単位を持つことを夢見ている。ただ、いつ出会いがあるか分からない中で、1人で子どもを持つ選択肢を全く考えないわけではない。

 前田さんにとって、卵子凍結は、今できることに取り組みたい自分に、自分がしてあげられることだった。「卵子凍結という選択肢が増えて、より悩む人が増えるという声も聞きますが、私は“それしかなかった”と誰かのせいにするより、自分の手で自分の未来を選び取る自由と、選んだことに責任を持って生きる人間でありたい。その意味で、卵子凍結は、前向きに私らしくあるためのフェムテック(女性特有の悩みを先進的な技術で解決すること)だと思っています」

-196℃の願い 卵子凍結を選んだ女性たち』は、朝日新聞出版公式note「さんぽ」で3月31日13時まで、全文無料公開中。

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