「この人となら、もしかすると良い関係が築けるかもしれない」と感じ、何度か会った後に、交際がスタート。それは、まもなく、43歳を迎えようとしていた冬のことだった。 

 男性とは1年ほど交際した。「良い人だな」という思いは、会うたびに増していったが、結婚して子どもを持つ未来は、どうしても描けないままだった。相手に対し、そこまで興味が持てていないことに、どこかで気づいてはいたのだが、プロポーズされたのを機に、「違う」とはっきり悟ったという。「……って私、本当に最悪ですよね。結婚を前提とした出会いを斡旋(あっせん)する結婚相談所で出会っておいて、1年交際しておきながら、最終的に断るって」

 ある日、ふと気づく。「私、保管している卵子のために出会いを求めてる」と。「あれ? それって、おかしいんじゃないか」と思った。
 

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