無事に博士号を取得できたら、ヨーロッパと日本の両方で、研究職のポストを探したいと考えている。キャリアを思い描くその一方で、「いずれ子どもがほしい」という思いも明確にある。
「自分一人のためだけに生きる人生ではなく、血を分けた、守る存在がほしいって思うから」
その思いには、増永さん自身のバックグラウンドも少なからず関係している。成人後まもなく、両親が立て続けに病気で他界。その後は、祖父母が見守ってくれ、海外で学ぶという夢も心から応援してくれた。祖父母が80代後半に差し掛かった20代後半から、祖父母の主介護者は増永さんが務め、イタリアに渡ってからは、ケアマネジャーらとこまめに連絡を取り合いながら、遠距離で二人を見守ってきた。そして祖父母のケアのために、年に2〜3回は帰国し、様子を見ていた。