
「党内基盤が弱いから、後ろから刺された」
政治評論家の田村重信氏は、自民党の政務調査役時代は防衛の専門家だった関係もあって石破首相とは親しい。石破首相の党内基盤の弱さに同情的だ。
「歴代の首相が新人議員に、商品券かそれと同等のものを配っていたのはかなり以前からだと私も思うよ。けれどそれが一度も問題になったことはなかった。派閥がなく、党内基盤の弱い石破首相は、少しでも新人議員を手の内に、と思ってやったことがバレてしまった。党内で後ろから刺された形。支持率の落ち込みが激しいのは事実だが、商品券問題で石破首相はやめるべきかという質問では、そんなに高い数字は出ていない。また衆議院で新年度の予算案が通過しているので、国会対策としては大きな問題はない」
確かに、前述の朝日新聞の世論調査では、商品券の配布問題を受けて、石破首相は首相をやめるべきだと思うか、という問いに対して、「やめるべきだ」は32%なのに対して、「その必要はない」が60%とかなり多かった。
昨年10月の総裁選で石破首相に1票を投じた議員は、こんな見方をする。
「石破おろしの風はかなり強まっているが、注意報レベルで警報には至っていないという印象だ。理由は、石破首相の次の有力な総理候補がいないこと。それにいま総理になれば火中の栗を拾うようなものですからね。石破首相は法的には問題がないと言っており、辞めるほどではない。ただ石破首相は党内基盤が弱く仲間がいないので、反石破の議員から追い込まれていくのも仕方ないという空気感はある」
一方で、旧安倍派で「反石破」の姿勢をとる議員は強硬だ。
「うちの派閥のパーティー券収入のキックバックを、石破首相は裏金だといい、衆院選でも公認まで外して切り捨てた。それが自ら裏金の疑惑を招くような商品券を配ったとなれば、退陣すべきでしょう。石破首相のままでは、参院選も東京都議選も惨敗だよ」