
「月曜(3月17日)に国会に戻ってみたら、まわりはもう選挙モードでびっくりしたよ。このまま行けば『商品券解散』だと、ネーミングまでされている」
【写真】野党の軒並み支持率が低迷する中、唯一支持率が伸びた政党代表はこの人
こう話すのは自民党のベテラン衆院議員。石破茂首相が初当選議員に商品券10万円を配った問題で、永田町に解散風が吹き始めているという。
「昨年10月に総選挙があったばかりで、どんなことがあっても次の解散は夏の参院選の後だと思っていたけど……」
記者も17日に衆議院の議員会館をまわってみたが、顔なじみの秘書がいない部屋がいくつもあった。自民党のある秘書の携帯電話を鳴らすと、忙しそうにこう話した。
「代議士から解散総選挙に備えて地元に行け、と指令が出た。早ければ4月末にも選挙がありそうというので準備している」
この問題が起きて初めての週末である3月15、16日に実施された朝日新聞の世論調査では、石破内閣の支持率は26%で、前回2月調査の40%から14ポイントも下落。逆に「不支持」は59%で、前回の44%より15ポイントもアップした。石破首相が商品券を渡したことについては、「大いに問題だ」が43%、「ある程度問題だ」32%で、2つを合計すると75%を占めた。同時期に行われた他のメディアの調査でも、石破内閣の支持率は軒並み大きく下落していた。
火に油注いだ「歴代首相の慣例」発言
AERA dot.でも報じたように、初当選議員と首相が会食し、「おみやげ」を渡すことは自民党では恒例行事だった。だがこれを公言して問題になったのが自民党の舞立昇治参院議員だ。3月16日に地元、鳥取県での党会合で、
「商品券のことで、想像以上にお騒がせしておりますが、歴代の首相が慣例として普通にやってきた」
と発言。党県連会長でもある石破首相の側近ゆえに、商品券問題を鎮静化しようという意図があったのだろうが、これが火に油を注いだ。
3月17日の参議院の予算委員会で、立憲民主党の石垣のりこ議員は舞立氏の発言を引用して、
「歴代の首相が慣例として普通にやってきたのは、これは事実でしょうか」
と商品券問題について質問。石破首相は、
「歴代首相がそうであったか、私は存じません」
と答えたが、石垣議員はさらに、
「社会通念上納得できない、倫理上はどうなんだという話もある」
と追及。石破首相は、
「法的に正しいと言っても、道義的、社会通念上どうなんだいという声があることは、痛切に認識をいたしているところでございます」
などと苦しい弁明に終始した。
舞立氏は17日、自らの発言を「事実誤認、推測に基づく発言」だったと撤回した。