和歌山県警が「事件性なし」としたのは、2人の遺書がパソコンに残っていたのが理由の一つだったが、その遺書についても大阪府警は、
「浜田容疑者らに無理やり書かされた、もしくは偽造した疑いがある」(捜査関係者)
とみて、浜田容疑者と河内長野市の寺崎佐和子容疑者(47)を有印私文書偽造・同行使の容疑で逮捕し、捜査を進めている。
「口はうまいが普通のおばさん」
浜田容疑者と被害者との接点は、「スピリチュアルカウンセリング」と称する悩み相談だった。寺本さんと米田さんの2人は、2008年ごろ、浜田容疑者のホームページを通じて、コンタクトし、電話や対面での「カウンセリング」を受けるようになった。
浜田容疑者は自らを「創造主」と名乗り、2人を信奉させ、給料や不動産を売却したカネなどを出させていた。
浜田容疑者の知人はこう振り返る。
「浜田容疑者は『占いが当たる、予言する能力がある』などと、20年ほど前から周囲に吹聴しはじめた。確かに口はうまいが、そんな能力があるとは思えない。普通のおばさんがどうしたのかと思った」

大手メーカーで数々の発明をしていた技術者
寺本さんは大手電機メーカーで音響関連の技術者として知られる存在だった。友人に話を聞くことができた。
「寺本さんはとても優秀な技術者でした。彼のおかげで、大手メーカーは音響関連の特許をいくつも取得しています」
実際、この友人が指摘した特許について調べると、寺本さんの名前が「発明者」として出てくる。
だが、寺本さんは浜田容疑者に傾倒し、給料などを浜田容疑者に渡すようになる。14年に会社を定年退職すると同時に、自ら音響機器の製造・販売の会社を設立。15年には新しいスピーカーシステムを開発して発表した。会社のホームページを見ると、新しいスピーカーについて、
〈伝えたいのは魂を震わせる「地上で唯一無二」の「光のバイブレーション」〉
〈素晴らしい音楽エネルギーは世界を変える事が出来る〉
など、スピリチュアルを感じさせる文言が並ぶ。スピーカーシステムの値段は「1000万円(税抜き)」と記されている。