そして、無人のスタンドに向かって「史上初、お客さんがいない中での始球式!元気ですか~ッ、皆さん、ご唱和ください、1、2、3、ダーッ!」と叫ぶと、捕手・吉田裕太のミット目がけて、見事ストライク投球を披露した。
高校時代は野球部に所属していたアントキの猪木は「昔は130キロちょいくらいは出てた。(無観客始球式は)初めてってのがうれしいですね。ニセモノ稼業に尽きます」とコメントした。
そして、このパフォーマンスにロッテ・山室晋也球団社長が感激したことがきっかけで、4月17日のロッテ対ソフトバンク戦で“リベンジマッチ”が実現。今度は9千208人の観衆の前で前回同様ノーバウンド投球を披露し、「1・2・3のダー! でストライクが取れてうれしいです!」と得意満面だった。(文・久保田龍雄)
久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

