球場でビールを売る「売り子」
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 西武が3月7日に公式サイトで、「2025シーズンより、お客さまによる売り子の撮影および売り子との写真撮影を禁止させていただきます」と、球場でビールなどを販売する売り子の撮影を禁止すると発表した。「売り子の安全な就労を行う観点」だという。売り子の「安全な就労」を脅かす、どのような状況があるのだろうか。

【写真】時代を感じます。背負い式のカルピスを販売する売り子

 パ・リーグの球団職員が、こう話す。

「野球観戦に来た一部のお客様が、お気に入りの売り子と10分以上話し込んだり、売り子の写真を何枚も撮ったりして、他のお客さんから球場のスタッフに苦情が来たケースがありました。撮影禁止は時代の流れを考えると当然でしょう」

 また、以前、球場で売り子のアルバイトをしていた女性は、男性客につきまとわれる被害に遭ったという。

「毎試合のように球場に来ていた男性のお客様が、私を指名してビールを買ってくれました。給料は売り上げによる歩合制なのでありがたかったんですけど、次第に『ツーショット写真を撮ってほしい』『連絡先を教えてほしい』と要求がどんどんエスカレートしてきました。アルバイトの先輩に相談して、販売にまわる席の持ち場を変えてもらって、その男性と会わないようにしていたんですけど、ある日の試合後に球場から出た際、『なんで避けるの?』と待ち伏せされました。その後も無言で付きまとわれたりして……。怖くなったので売り子の仕事を辞めました」

 この女性と一緒の球場で売り子をしていた別の女性もこう振り返る。

「売り子の写真が球場の周りの路上で売られていることがありました。スマホを向けられて、撮られているなと感じる時はありましたが、『撮らないで』とは言えなかった。撮影禁止にしてもらえるのはありがたいです」

自らSNSを教える売り子もいるが…

 この女性は、「一部の売り子の態度にも問題があった」とも話す。

「売り子の中にはタレントや役者の卵として芸能活動している子もいます。お客さんに気に入ってもらって自分の存在を広めてほしいので、インスタグラムやXを教えて宣伝している子がいました。こういう子がいると、お客さんは勘違いしがちです」

 売り子を取材したことがあるスポーツ紙記者は、こんな話をする。

「当時は、売り子をしながらアイドルやタレントとして活躍して有名になったおのののかさんに憧れて始めた女性が多かったですね。歩合制で頑張れば稼げるし、売り子としてカリスマ的な人気になれば芸能界で活躍するためのPRにもなる。ただ、『お客さんに自分のSNSを教えることは禁止されている』とも言っていました。野球観戦にくるお客さんが不快にならないよう、『固定客と話し込むことがないように』とくぎを刺されたようです」

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西武以外にもある売り子撮影禁止の球団