
2024年の年間リターン71%。S&P500の41%を凌ぐ成績に個人投資家が飛びつく。銘柄絞り込み系投資信託の中身と成績を検証。AERA2025年3月17日号より。
【個人投資家が飛びつく!?】銘柄絞り込み系投資信託の中身と成績はコチラ



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新NISA1年目の2024年、つみたて投資枠対象インデックス投資信託の中で一番成績がよかったのは大和の「iFreeNEXT FANG+インデックス」年間リターン70.75%だった(24年12月30日時点)。基準価額は1年で4万1046円から7万2352円まで約1.8倍に。みんな大好き「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は40.78%、年初2万4154円から年末3万4182円で1.4倍だ。
FANG+は「米国株で今強い10銘柄だけ」をほぼ均等に組み入れる投資信託である。S&P500は米国の主要な500銘柄。S&P500も好調だが、S&P500は時価総額の大きいものを、より多く買う方式(時価総額加重平均)だ。上位10銘柄だけで全体の約37%を占める(24年12月末)。今はGAFAM(グーグル=アルファベット、アップル、フェイスブック=メタ、アマゾン、マイクロソフトの英字頭文字)、エヌビディア、テスラなど米国の花形IT株の寄与率が高い。「ならばS&P500の中で強い株だけ厳選して買う投資信託ならもっと儲かるのでは?」と考える人は多いようで、FANG+への資金流入が止まらない。
積立額8.3倍
新NISA開始後にはFANG+のような「銘柄絞り込み系」の投資信託も増えた。24年3月13日設定「一歩先いくUSテック・トップ20インデックス」は20銘柄。3月22日設定「米国大型テクノロジー株式ファンド」はGAFAM+テスラ+エヌビディアの7銘柄ぽっきり。5月16日設定「Tracers S&P500トップ10インデックス(米国株式)」はS&P500の時価総額上位10銘柄を定期的に見直しながら組み入れる投資信託で、発売当初は「こういうの待ってました!」とSNSが沸いた。
類似ファンドは登場しているものの、FANG+は頭一つ抜けて強い。25年1月6日、今年の新NISA初日だけで310億円、買われた(本誌計算/暫定、以下同)。eMAXIS SlimのS&P500の初日1457億円には及ばないものの、この手の尖ったファンドで1日数百億円の流入はすごい。個人投資家の主戦場、ネット証券ではどれくらい売れているか。SBI証券投資情報部シニア・ファンドアナリストの川上雅人さんに聞いた。