
「当社の投資信託販売額全体について23年12月時点と24年12月時点を比較すると、約2倍に伸びました。FANG+の販売額は1年で7.4倍に増加しています。23年10月につみたてNISA対象(新NISAではつみたて投資枠)となったことで積立額も増加し、こちらは前年比8.3倍です」
「一生一緒にM7」
FANG+をはじめとする銘柄絞り込み系の投資信託4本とS&P500、NASDAQ100(米国の主要100銘柄)、かつて流行した「レバナス」こと「iFreeレバレッジNASDAQ100」、合計7本のリターンや信託報酬、銘柄数や中身の違いをまとめた=表2点。
「銘柄絞り込み系4本の中で最後発=『Tracers S&P500トップ10インデックス(米国株式)』の設定日、24年5月16日を100としてリターンを比較すると、直近(取材日前日の2月4日)までの成績トップは7銘柄入りの米国大型テクノロジー株式ファンド。2位FANG+、3位が20銘柄入りのUSテック20、4位がレバナス、5位がTracersのS&P500トップ10。6位がiFreeのNASDAQ100、7位がeMAXIS SlimのS&P500となりました」
米国大型テクノロジー株式ファンドは愛称が「マグニフィセント・セブン」(M7)というだけあり、定期銘柄入れ替えは原則なし。エヌビディア的に表現すれば「一生一緒にM7」である。そのため株価調整後、10月以降の反発をフルで取れた(テスラは12月以降再び下落)。これが表の7本中の直近リターン1位に寄与している。
22年は年間3割減
今はAI全盛を背景に銘柄絞り込み系は好調だが、「いい年はいい。でもGAFAMやエヌビディア、テスラが失速した年は当然、下落率も激しいことになります」と川上さん。
たとえば22年のS&P500は円建てで▲6.70%だったが、FANG+は▲31.44%だった。年間3割減は精神的にキツそう。逆にいえば「2〜3割減、下手すれば半減かそれ以上」に耐えられない人は銘柄絞り込み系の投資信託を買わないほうが。
川上さんは銘柄絞り込み系の投資信託に対し、ハイリスク・ハイリターンであることは前提の上で好意的だった。
「特にFANG+は他に比べて利益の伸び率が優秀だと思います。初心者には勧めませんが、リスクを承知でリターンにこだわる方にはアリでしょう。FANG+は全10銘柄で、3カ月に1回の銘柄入れ替えの厳格なルールが決まっていますが、結果的に入れ替え成功のケースが多い点も評価しています」