AERA 2025年3月17日号より

 FANG+は、ルールに沿った銘柄入れ替えが「よく当たる」。たとえば22年12月にアリババとバイドゥ(いずれもFANG+で買われたのは米国上場のほう)を除外し、AMDとスノーフレイクを採用。この「中国株はずし」はタイミング的に大正解だった。23年9月にAMDを除外し、ブロードコムを採用。この半導体株の入れ替えタイミングも、後から見た結果ではあるがお見事だった。

「24年9月にテスラとスノーフレイクを除外し、クラウドストライクとサービスナウを採用(12月は入れ替えなし)。2月14日時点ではクラウドストライクが上昇トレンド、サービスナウが様子見の状況です」

 運用元の大和アセットの資料によると、FANG+は22年12月に指数算出方法を変えた。その結果、10銘柄中6銘柄は「FAANMG」(フェイスブック=メタ、アップル、アマゾン、ネットフリックス、マイクロソフト、グーグル=アルファベット)で固定(原則入れ替えなし)に。「米国で法人登録された、米国をリスク所在国とする企業のみを組み入れる」という条件も追加され、大和の資料によれば「地政学リスクの低下につながる」。なお、10銘柄の比率は「時価総額加重平均≒規模が大きいほど多く組み入れ」ではなく、均等に10%ずつ投資する(その後の値動きによりブレるが3カ月ごとに調整)。

FANG+上場した

 25年1月10日には、東証ETF「iFreeETF FANG+」(証券コード316A)も上場した。投資信託のFANG+と違い、東証に上場しているため場中はリアルタイムに売買できる。コストは信託報酬0.605%+上場料最大0.00825%+商標使用料0.04%=0.65325%程度で、投資信託のFANG+(信託報酬0.7755%)より少し安い。価格は1956円(25年1月末終値)で1口単位だ。

「上場早々、人気ですね。1月28日の国内ETFの売買代金ランキングを見ると、投資対象が外国株式のETFの中では『NEXT FUNDS NASDAQ−100(為替ヘッジなし)連動型上場投信』に次ぐ2位に躍り出ました」

 ちなみに外国株式という縛りを外すと、東証ETFの売買代金ランキングは日経平均やTOPIXのレバレッジ、ダブルインバースが軒並み上位だった。

「銘柄絞り込み系の投資信託は通常のS&P500などと違い、分散投資とは真逆です。積み立てなら『毎月、10銘柄、個別株を買っている』=相応のリスクを取っていることを理解しましょう。個別株10銘柄を買っているという意味で『米国の個別株投資の入門ファンド』とも言えます。少額で保有しながら月次レポートなどを読めば、米国を牽引するスター株に関していろんなことを学べます」

(経済ジャーナリスト・向井翔太、編集部・中島晶子)

AERA 2025年3月17日号

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