3連覇を達成した藤井聡太棋王=2025年3月2日、新潟市
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 注目対局や将棋界の動向について紹介する「今週の一局 ニュースな将棋」。専門的な視点から解説します。AERA2025年3月17日号より。

【貴重写真】和服じゃない!スマホ片手にデニム姿の藤井聡太さん

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 3月2日、新潟県新潟市において、第50期棋王戦コナミグループ杯五番勝負第3局・藤井聡太棋王(22)-増田康宏八段(27)戦がおこなわれた。対局はまず、96手で千日手(引き分け)に。指し直し局は120手で藤井が勝ち、3勝0敗のストレートで防衛を果たした。

藤井「先手番のときに主導権を取れなかったところはちょっと、課題が残ったかなというふうに感じていますけれど。ただ、本局を含めて、中盤でのねじり合いのような将棋が多かったので。その点は指していてもすごく、勉強になるところが多かったのかなというふうに感じています」

 藤井は3連覇を達成した。

「内容的には本当にかなり、きわどい将棋の連続だったので、あまり実感はないんですけれど。一つ結果を残せたことはうれしく思います」

 藤井のタイトル通算獲得数は27期。谷川浩司十七世名人(62)と並んで、早くも歴代5位タイとなった。

「谷川十七世名人は私にとっては憧れの方でもありますので。記録の上で今回並ぶことができたというのは、光栄なことだと感じています」

 藤井のタイトル戦での勝数は、ちょうど100にも達した。藤井は1週間後の3月9日には、王将戦七番勝負第5局で挑戦者・永瀬拓矢九段に勝利。シリーズを4勝1敗で制して、こちらでも防衛を果たしている。タイトル獲得数は28期となり、谷川十七世名人を抜いて、歴代単独5位に浮上した。タイトル戦初登場の増田は、結果は出せなかったものの、内容的にはかなりの好勝負を演じていた。

増田「一応、序盤から差をつけられて、圧倒される展開は避けられた気はするので。そのあたりはよかったかなと思うんですけど」「ちょっといい局面でもよくしきれなかった場面が多かったので。そのあたりの力不足だったかなという気がしています」

 同日放映されたNHK杯準決勝でも藤井と増田は対戦。こちらは「名局賞」という声も上がる、今年度を代表するような大熱戦だった。結果は藤井が大逆転勝ちを収めている。両者の戦いは今後とも続いていく。(ライター・松本博文)

AERA 2025年3月17日号

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