
2日間で8万8千人の観客を集めた「ap bank fes '25 at TOKYO DOME ~社会と暮らしと音楽と~」。イベント自体は大盛況のうちに幕を閉じたが、このフェスが掲げた理念はここで終わりではない。イベントの内容、会場内の展示などを通して得た情報や気づきを日常に持ち帰り、何かしらの変化を促すことがap bank fesの意義だと思うからだ。
ライブやパフォーマンス自体は素晴らしいものだったが、“ap bank fesを都市で開催する意義”や“社会と暮らしと音楽と”というテーマが観客にきちんと伝わったかと言えば、やや疑問が残る。イベントとして楽しめたのなら、それでいいのでは?という意見もあるだろうが、ap bank fesの理念を考えると、もう少し突っ込んだメッセージ(たとえば“DEI”の推進やエネルギー政策への提言)があってもいいし、能登の現状について言及がないのも気になった。
“音楽やアート、食を楽しみながら、社会を考えるきっかけを得る”を超えて、より具体的なアクションへ。ap bank fesの理念に共感する人間として、今後はそんな変化を望みたい。
(文/森 朋之)

