エンゼルスの菊池雄星(ロイター/アフロ)
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 菊池雄星の仲間思いの人柄があらわれたエピソードだった。

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 今シーズンからエンゼルスに移籍した菊池は、2月28日(現地時間)のドジャース戦に先発登板。初回に「1番・指名打者」でスタメン出場した大谷翔平と対戦し、フルカウントから外角高めに151キロ直球を投じたが、左翼席にソロ本塁打を打たれた。捕手の構えたミットに投げ込んでおり、制球ミスではない。逆方向にアーチを放った大谷の高等技術が凝縮された一打で、ハイレベルな戦いだった。

 この場面が、3月2日の「サンデーモーニング」(TBS系)で取り上げられると、出演した球界OBの上原浩治氏、工藤公康氏から、配球について辛口のコメントが出された。

 上原氏は「3-2からあそこを要求するキャッチャーの気持ちが僕の中で分からない」とフルカウントから外角高めに直球を要求した捕手のリードに疑問を投げかけた。工藤氏も「なかなか3-2のカウントで高めに投げるっていうのは野球界ではあんまりないんですよ」と上原氏の意見を補足。「(大谷の)力も当然あるんですけど、日本的に言うなら、低めの変化球であったり、高めに行くならインサイドに構えることが多いです」とコメントした。

 エンゼルスのマスクをかぶっていたのは正捕手のローガン・オホッピー。25歳の若手成長株で、「強打の捕手」として将来を嘱望されている。菊池は球界OBがオホッピーの「配球ミス」を指摘したことを知り、すぐに自身のXで以下のように反論した。

「このままでは捕手に申し訳ないので発信します。まずはじめに、一番『あり得ない』のは、四球を出すことでした。世界一の選手と、結果を気にせずに対戦出来るオープン戦において、四球ほど勿体無いものはありません。かつ、僕もエンゼルスのユニフォームを着ての最初の打者。四球スタートだけはあり得ないわけです。シーズン中に同じ配球をするか?は全く別の話です。ただ、我々は勝負を楽しみたかっただけなのです。なぜなら目の前に立っているのは世界一の選手だから。腕を振ったストレートを、オープン戦の一打席目に完璧に仕留められた。凄いの一言です。めちゃくちゃ悔しいですが、それでいいのだと僕は思います。決して大先輩方に盾突くつもりはありません。僕と捕手の考えをお伝えしたかっただけです」

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西武時代を知る球界OBが明かす素顔とは