AERA 2025年3月10日号より

女子の自殺者増える

 子どもたちは何に苦しんでいるのか。厚労省の資料から原因・動機を見ると(複数回答)、(1)学業不振や進路に関する悩みなどの「学校問題」が349件(44%)、(2)うつ病などの「健康問題」が284件(36%)、(3)親子関係の不和など「家庭問題」が148件(19%)──の順となった。伊藤さんは、最近の傾向として「受験や進学でプレッシャーを感じている子どもは非常に多くなっている」と言う。

「大人たちは競争原理の中で常に生産性を求められ、追い立てられています。そのため、子どもたちには勉強をして、いい大学、そしてよりいい企業に入ってほしいと考えています。それが子どもたちにも伝わり、非常にプレッシャーになっていると思います」

 今回の厚労省の発表で気がかりなのは、女子が増え続けていることだ。昨年、自殺した小中高生の女子は、前年比34人増の288人で5年前の約2倍となり、初めて男子を上回った。

 自殺の問題に詳しい南山大学准教授の森山花鈴さんは、女子の自殺者が増えたことは「ショック」だと語り、背景や原因は詳細な分析が必要だとした上でこう話す。

「本来、男性の方が女性より弱音を吐けず悩みを打ち明けることができないと言われています。しかし、そこが子どもたちの中で変化してきている気もします」

 また最近は、一見普通に日常を送っている子どもが自殺をするケースが増えている。ギリギリまで頑張って、悩みを打ち明けることができない女子が多くなっているのではないかという。

「自殺の予防には、声をかけたり話を聞いたりするのが大事といわれます。それが、周りの大人に余裕がなく、子どもに寄り添えなくなっている可能性も高いと思います」(森山さん)

(編集部・野村昌二)

AERA 2025年3月10日号より抜粋

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