
木村編集長:今は多様性の時代ですが、皆さんは生きやすくなってきていると感じますか?
藤田智子さん(埼玉県・47歳・自営業・既婚・子あり):前職の公務員時代、最初はお茶くみから始まりました。社内表彰式の際は、「賞状を持つのは女性、渡すのは男性」なのが当たり前。でも、今は性別関係なく同じ土俵でスタートできているのではと思います。あと、結婚当時、夫は家事が何もできず、私がつわりで動けない時に総菜を自分で買うことすらできない人でした。でも今は生協の宅配注文から、ゴミ出しまで家事スキルが向上し、人は変わるんだなと感じています。
土井あゆみさん(東京都・42歳・会社経営・事実婚・子あり):大学卒業後、当時日経新聞で「女性が働きやすい企業No.1」とされていた大手企業に入社しましたが、フタを開けてみたら実際には結婚と出世を両立している人がいませんでした。社内のロールモデルは2パターンしかなく、プライベートを充実させたいからキャリアを断念するか、キャリアアップを目指して結婚は後回し、出産は役職が上がってからにするか。あの頃と比べると、選択肢が広がっているとは感じます。
私は入社2年目で退職し、起業して18年になります。今のパートナーとは事実婚で、子どもがいてもキャリアを重ねることができています。精神的な自立が何より大切だと思います。
家庭に入ってほしい
片浦望さん(和歌山県・27歳・メーカー研究職・独身):地方在住で、周囲の上の世代は「結婚=子ども」というイメージがあると感じます。皆さんのお話を聞いていて、私もその考えに引っ張られているかもしれないと思いました。結婚を考えた時期があったのですが、交際相手から家庭に入ってほしいかもと言われ「Z世代でそんな人いる!?」と(笑)。仕事と家庭を両立したいので、理解してくれる人を探したいです。私の部署には女性が少なく、ロールモデルが身近にいないので、新たな道を拓ければなって感じです。
三浦比奈さん(東京都・46歳・フリーライター・既婚・子あり):子どもはどうしても親の価値観に影響を受けるので、「家庭に入る」と考える男性は、価値観が修正されないまま来てしまった人だと思います。
古田副編集長:親の価値観はインストールされますよね。専業主婦の母親の下で育った人は、働いていて我が子に同じようにできないことに悩むこともあると思います。でも、価値観は年齢や環境によって変化するもの。私自身、20代の頃は「結婚はした方がいい」と思っていましたが、この年齢になってみると、どっちでもいいな、と。結局、人は孤独だということを知ったからですが(笑)、常に柔軟でいたいとは思っています。