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就職氷河期は、それぞれに夢や目標があったとしても選択肢すらなく、生活するために「入れる会社に入る」しかなかった人も多かった時代でした。
就職氷河期に就職し、派遣社員として転職を経験してきたという女性は、
「『氷河期だからと甘えている』と言う人もいるが、企業の募集もなく、学校を卒業しても働きたくても働けなかった時代が何年も続いたことを知らない人が勝手に言っているだけで、本当に苦労していることを知らなすぎだ。(中略)
『派遣会社』がまだそれほどに数がなかった頃は、もっと資格の有無や経験などがある程度必要であったし、事務職であっても「仕事」のみをしていた。世に言うお茶くみや掃除、電話などは社員しかしなかった。それだけ「派遣社員」は仕事に特化した人材であった。自分で資格を取り、そういう派遣社員として働いた氷河期の人も多い。
苦労して何とか職を見つけて、給料が安くても働いている氷河期の人材を大切にしないと若い人に教える人材がいなくなりますよ。どの職場でもその時代に雇った人が少ないので、ぽっかり穴が空いている世代なのですから」
「インフレの中、給与が上がることは当然だと思います。ただし、働く者すべてに均等に行われるべきではないでしょうか」と指摘摘するのは、大学院の修了後から非正規職員として働き、30代で専門職で公務員になったという女性。
「おそらく私には退職まで到達し得ないだろう給与を1年目で支払われる人達のニュースを見ると、言いようのない気持ちになります。今仕事で使っている技術は一朝一夕では身につくものではありません。長年努力して、ひとつひとつ得てきたものです。この時間を認めてほしい。氷河期世代がこの年になるまで遊んで暮らしていたとでも思っているのか、と申し上げたいです」