「2022年に発症した右肘痛は、本人の意思でトミー・ジョン手術を受けず保存的療法を選んだ。球威は落ちて以前のような力勝負ではなく、制球力と駆け引きで勝負するタイプになった。モデルチェンジ成功のためには、実戦登板を重ねなければならないが……」(在京球団編成担当)

 自主練習翌日の22日にはチームへ合流、「今年は一軍完走が目標。(怪我を)やってしまったからには、すぐに戻ってやろうと思っていた」と語った。ブルペンでは変化球を交えて41球を投げたものの、今後も不透明な部分は多い。

「奥川本人が一番歯痒く、焦りを感じている。いつ現れるかわからないコンディション不良にナーバスにもなっている。冗談混じりに、『今の投げ方がダメなら横から投げようかな』と言っていたこともある。周囲も含め、祈るような気持ちになっている」(ヤクルトOB)

「今年の沖縄は本当に寒い。体が硬直してコンディションが上がらないのも原因の1つだろう。故障することなく年間を通じて投げて欲しい。そのためにも無理しないで開幕に照準を合わせてもらいたい」(ヤクルトOB)

 キャンプ打ち上げ前日の25日には再びブルペンに入り72球を投げ込んだ。球速は140キロ中盤をマークするなど、復調をアピールしてみせた。

「しっかりこの1カ月は練習できたので。途中ちょっと離脱することもありましたけど、最後までここに残れたので、これからオープン戦では内容と結果にこだわって投げていきたいですね」(奥川)

 オープン戦に向けてマウンドに上がれる状態にあることはわかった。大事なのは開幕、そしてシーズンに入ってどうなるかだ。

「期待し過ぎると今まで同様にショックも大きいので、判断は難しい」(ヤクルトOB)と周囲の声は厳しいものもある。ネガティブな見方もあるが、奥川は自身のパフォーマンスでそれを打ち破るしかない。キャンプでの離脱に対し、「そういったこともありました」と後で笑って振り返られるようなら、ファン、関係者の誰もにとって良いことだが……。シーズンを健康な状態で迎えられることを祈りたい。

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