ほかの子どもの登校姿を目にして、「みんなは行けているのに……」と焦りや不安が膨らむ。不登校の背景は子どもごとに違い、対応にも「正解」はないから先が見えない(撮影/写真映像部・東川哲也)
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 11年連続で増加している不登校の児童生徒数はついに34万人を突破した。本人や家族は、先が見えず、不安を抱えている。増え続ける不登校の背景には何があるのか。不登校の子どもたちと親が孤立しないためにどうしたらいいのか。AERA 2025年3月3日号より。

【図を見る】不登校は11年連続で増加 小学生は10年で5倍の現実

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 都内に住む女性(38)の小学2年の娘は2カ月ほど前から不登校気味だという。学校に行けなくなった理由は本人もよくわからないようだ。

 子どもが学校に通えなくなったばかりの頃もつらかったが、学年末が近づき、「来年度もこのままじゃないか」「高学年までこのままではないか」「復学してもまた不登校になるのではないか」と不安ばかりが募る。

 フリーランスのため、在宅で働いているが、毎日子どもが家にいると仕事に集中できず、イライラしてしまう。

「毎朝、学校に休みの連絡を入れるのも、子どもにその確認をするのもつらい」

 年30日以上登校せず、「不登校」とされる小中学生の数は毎年過去最高値を更新している。文部科学省が公表した最新の調査結果(2023年度)によると、不登校の小中学生の数は34万6482人にのぼった。

 最近は冒頭のケースのように低学年から不登校になる子も増えてきた。不登校はどの学年でも増えているが、この10年で小学生は5倍、中学生は2.2倍と、低年齢化傾向が顕著だ。

 都内在住の女性(41)の娘も小学1年の2学期から行き渋りが始まった。3月生まれで体もクラスで一番小さく、毎日の学校生活だけでクタクタな様子。2学期に入り、6時間授業の日が出てくるとつらそうだった。その後、「体調不良以外で休むのは月1回まで」と親子でルールを作ったことで心に余裕ができたのか、渋らずに行けるようになったという。不登校への対応に明確な「正解」はなく、本人や親たちも試行錯誤している。

20年度以降に15万人増

 一言で不登校といっても事情はそれぞれ異なる。AERAが2月に実施したアンケートでも、不登校になったきっかけや理由として、友達とのいざこざから通えなくなるなど心の問題が絡むケースや、発達障害による特性から人間関係が上手くいかずに不登校になるケースもあった。起立性調節障害などの理由で長期欠席になるケースも。こちらは学校に行きたくても体が言うことをきかず、その狭間でメンタル的にも落ち込んでしまうこともある。どのケースにも対応できるよう、学校側もスクールカウンセラーの配置など取り組んでいるが、増え続ける不登校の背景には何があるのか。

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