こうして改めて並べてみると分かるのが大学生と社会人の投手が多いということで、その総数は11人となる。一方で高校生は2020年の元だけ。2位指名はウェーバー順ということでその年のドラフト会議時点でシーズン最下位のチームが指名していることもあって、いかに即戦力の投手を求めているかということがよく分かるだろう。
ただ通算成績を見てもその戦略が決して成功しているとは言えない。一軍の戦力として十分な成績を残した投手は2009年の比嘉と2012年の三嶋くらいで、いずれも中継ぎ投手である。2022年の金村が比較的順調なスタートを切っていると言えるが、先発投手として大成した選手は1人もいないというのが現状なのだ。
即戦力を期待するあまり、スケールよりも完成度を重視して、それが裏目に出たという印象は否めない。野手について見ても2017年の藤岡、2018年の太田はレギュラークラスとなっているが、全体で13番目の指名ということを考えると、少し物足りなさを感じるのも事実である。
では他の選択肢としてはどんな選手がいたのだろうか。下位指名から大化けする選手は毎年必ずいるためそれは除外し、当時の同等程度の評価と言える2位指名で結果を残している選手を探してみたところ、以下のような顔ぶれとなった。
2008年:野上亮磨(日産自動車→西武:全体24番目)
254試合58勝63敗4セーブ15ホールド 防御率4.03
2009年:堂林翔太(中京大中京→広島:全体16番目)
1026試合654安打66本塁打280打点41盗塁 打率.243
2010年:柳田悠岐(広島経済大→ソフトバンク:全体24番目)
1450試合1595安打264本塁打890打点162盗塁 打率.312
2011年:菊池涼介(中京学院大→広島:全体16番目)
1664試合1700安打131本塁打590打点122盗塁 打率.268
2012年:鈴木誠也(二松学舎大付→広島:全体17番目)
1283試合1333安打237本塁打755打点113盗塁 打率.303
※日米通算
2013年:山川穂高(富士大→西武:全体21番目)
929試合817安打252本塁打674打点1盗塁 打率.254
2014年:栗原陵矢(春江工→ソフトバンク:全体24番目)
548試合497安打74本塁打298打点14盗塁 打率.259
2015年:加藤貴之(新日鉄住金かずさマジック→日本ハム:全体21番目)
229試合58勝58敗0セーブ7ホールド 防御率3.17
2016年:京田陽太(日本大→中日:全体14番目)
894試合757安打24本塁打217打点81盗塁 打率.245
2017年:藤岡以上の成績を残している選手なし
2018年:島内颯太郎(九州共立大→広島:全体24番目)
256試合15勝14敗2セーブ89ホールド 防御率3.27
2019年:紅林弘太郎(駿河総合→オリックス:全体14番目)
534試合444安打26本塁打159打点8盗塁 打率.244
2020年:牧秀悟(中央大→DeNA:全体18番目)
548試合617安打98本塁打335打点18盗塁 打率.298
2021年:佐藤隼輔(筑波大→西武:全体16番目)
104試合6勝7敗0セーブ35ホールド 防御率3.05
2022年:村松開人(明治大→中日:全体14番目)
207試合159安打2本塁打45打点4盗塁 打率.246
2023年:一軍で目立った実績のある選手は現時点で不在