2023年に指名された選手はまだ誰も目立った成績を残していないが、他の年には主力になっている選手が多い。そして2位指名の最初、13番目の指名で入団した選手が最も活躍している例は2017年の藤岡のみという結果となった。
やはり目立つのが野手の成功選手を逃しているという点だ。高校生では堂林、鈴木、紅林が早くから一軍に定着し、鈴木はメジャーでも活躍している。栗原も捕手で入団したため一軍に定着するのは少し時間がかかったが、今では不動の中軸となった。また大学生野手では柳田、菊池、山川の3人が地方リーグの出身というのも特徴的である。
高校生や地方大学の野手はどうしても完成度が低いケースが多く、リスクも高いと判断されることが多いが、これを見ても成功した時のリターンが大きいのは確かだろう。そういう意味では昨年西武が全体13番目で指名した渡部は、成功法則に則っているという見方もできそうだ。
まとめてみると、最初の2位指名は最下位に沈んだチームのためにすぐに戦力になりそうな大学生、社会人投手を狙う傾向が強いが、結果としては大物野手を逃すことが多いという結論となった。もちろんその時のチーム事情で野手の指名が難しいケースもあるが、安易な即戦力志向は成功確率が高くないということは確かだろう。
まだ先の話だが、今年のドラフトでの全体13番目はどうなるのか。このような結果からもぜひ注目してもらいたい。(文・西尾典文)
西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。
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