鴨が飛び立つ瞬間、絹糸で作られた「叉手」(さで)という手持ちの網で鴨が傷づないよう捕獲する=2013年12月4日、埼玉鴨場、JMPA

鴨を落としちゃった!

 宮内庁には埼玉鴨場(埼玉県越谷市)と新浜鴨場(千葉県市川市)があり、皇室では鴨を無傷のまま捕獲する独特の狩猟法が継承されている。

 越冬のために鴨場の池(元溜)に集まった野生の鴨を、訓練されたアヒルで誘導。鴨が飛び立つ瞬間を狙って、絹糸で作られた「叉手」(さで)という手持ちの網でつかまえるという特殊な鴨猟で、もともとは江戸時代に将軍家や大名家に伝わっていたものを、皇室が明治以降に継承したものだ。
 

野外でスポーツ並みに体を動かす「鴨場接待」。愛子さまはロングブーツ、佳子さまはブーツにパンツ姿と防寒と動きやすさを備えた装い=2025年2月14日、新浜鴨場、JMPA

 鴨場接待では、接遇役の皇族と外交官ら10人でひとつのグループをつくって鴨の捕獲に挑戦するのが一般的だという。

 この日の愛子さま佳子さまは、野外で温かいティーカップを手に外交官らと歓談。しかし、その装いは、愛子さまはグリーンのジャケットにチェック柄のスカートにロングブーツ。佳子さまも黒のパンツにブーツと、それぞれ動きやすそうな服装だった。

 前出の人物によれば、鴨猟はスポーツに近い運動量になるという。

 参加者は、鷹匠や皇族方の合図を受けながら、鴨に気づかれないように静かに池に近づき、叉手で鴨をつかまえる。運動神経が良い参加者がひとりで10羽ほども捕獲することもあるが、一方で苦戦する人もいて笑いが絶えない場になるが、前出の人物は、

「皇族方はお手本を見せながら接遇されるので、和やかな国際親善な場とはいえ、気遣いや体力も必要なのです」

 と話す。

おふたり一緒に臨んだ放鳥が成功し、鴨を見守りながら笑顔で顔を見合わせる愛子さまと佳子さま=2025年2月14日、新浜鴨場、JMPA
次のページ
「鴨を落としちゃった」プリンセスは?