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さらに穴見の作曲によるファンキーなロックナンバー「Monkey Dance」、小林が作詞・作曲を手がけたダンサブルなポップチューン「コーヒーとましゅまろ」も収録。アルバムの最後に収められているのは、長屋の作詞・作曲によるミディアムバラード「オーロラを探しに」。〈ここにあるもの ここで鳴るもの/刻みつけたい〉というフレーズが印象的なこの曲は、長屋がフィンランドを旅したときの経験がもとになっている。
長屋:人生で1度はオーロラを見てみたいと思って、2024年の2月に休みをもらってフィンランドに行ったんです。結局見ることはできなかったんですけど、そのときの経験が、人生観や価値観にすごく作用した気がして。今はすごく便利な世の中ですけど、どんなに欲しいものを手に入れても、どこかに虚無感が残る。でも、オーロラを見るために森にいた時間は、すごく満たされていたんですよね。夢や希望、ワクワクした気持ちを抱えている状態がとても幸せだったし、生まれたてのような気持ちになれた。そのときの感情を曲にしたのが「オーロラを探して」。私自身のエゴでしかないんですけど、メンバーが“すごくいい曲だね”と言ってくれてうれしかったですね。
幅広いリスナーが楽しめるポップスと、メンバー自身の想いや音楽的志向を両立させた『Channel U』。この先の活動ビジョンについて聞いてみると、こんな答えが返ってきた。
peppe:テレビの音楽番組で、〈80年代〉〈90年代〉と区切って、その時代を代表する楽曲を振り返ったりするじゃないですか。このバンドを長く続けて、そういう番組に取り上げてもらえたらいいなって。その時代の人たちに聴かれることももちろん大事ですけど、“懐かしいな”と振り返ってもらえるのもいいことだと思うので。
穴見:緑黄色社会は短期間でバン!と売れることを目的にしているわけではなくて、地に足を付けて、ちょっとずつ芽を伸ばしていくバンドだと思ってるんです。誰にも似ていないことをやっている自負もあるし、着実に活動を続けていきたいですね。
(取材・文/森 朋之)
衣装協力:A-YARN、CABaN、Create Clair、FUMITO GANRYU、GALERIE VIE、NULABEL、PRANK PROJECT、saby、tangenet
緑黄色社会(りょくおうしょくしゃかい)/愛知県出身4人組バンド。愛称は”リョクシャカ”。高校の同級生(長屋晴子・小林壱誓・peppe)と、小林の幼馴染・穴見真吾によって2012年に結成。「Mela!」(2020)がストリーミング再生数4億回、「花になって」(2023)が同2億回、「キャラクター」(2022)・「サマータイムシンデレラ」(2023)が同1億回を突破するなど話題曲をコンスタントに発表。2022年には初の日本武道館公演を、2023年~2024年にかけてはアリーナツアーを成功させるなど、躍進を続けている。「NHK紅白歌合戦」3年連続出場(2022~2024)、第65回日本レコード大賞優秀作品賞受賞(2023/サマータイムシンデレラ)するなど、まさに国民的な人気を得ている。2025年2月19日にニューアルバム『Channel U』をリリース。
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