ベースの穴見真吾さん(撮影/品田裕美)

強みはメンバーの個性が生かされたバラエティに富んだ楽曲

 それを端的に示しているのが、アルバム1曲目に収録された「PLAYER 1」。作詞を長屋と小林、作曲をpeppe(Key)、穴見真吾(Ba)が担当したロックナンバーだ。

穴見:4人で作るやり方は、「Mela!」や「キャラクター」と同じ。まずpeppeが曲のもとになる火種を持ってきてくれて、僕が着火させるというか(笑)、曲としてまとめていきました。

peppe:「PLAYER 1」はアルバムのリード曲なんですが、最後の最後まで出来なくて。ツアー先のホテルの部屋、遠征先のスタジオなどでも制作していたし、キーボードを置いて“いいフレーズ、降りてこい”と願いながら作ってましたね。

キーボードのpeppeさん(撮影/品田裕美)

長屋:けっこうギリギリのスケジュールでしたね。歌詞は“自己肯定感を得たら、その先に何があるんだろう?”というイメージがもとになっていて。それってたぶん、最強の状態だと思うんですよ。スーパーマリオブラザーズでスターを取ったときのような(笑)、無敵状態を曲にしてみたいと。

小林:アスリートの方が試合の前にテンションを上げたいときや、学生の方が“宿題、あとちょっとがんばりたい”みたいなときに聴いてもらえたらなと。いろんな種類の“無敵”に効果があるような曲になったらいいなと思って作っていました。

 メンバーそれぞれの個性と才能を生かした楽曲も本作の多様性につながっている。peppeが作曲、長屋が作詞を手がけた「Each Ring」は、別れた恋人に対する思いを描いた大人のラブソングだ。

peppe:この数年は(ドラマ、映画、アニメ作品などの)タイアップのお話をいただくことが増えて、その作品に向き合いながら曲を作ることが多かったんです。そこからいったん離れて、自由に羽ばたくように作ったのが『Each Ring』。30代に入る手前の大人として、自分に立ち戻れた感覚がありました。

長屋:歌詞については、peppeから”大人の女性”というテーマが提示されて。年齢的にも自然に降ってきた感じがあるし、peppeの後押しがなければ、こういう歌は書かなかったと思います。

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