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幸福度が低下する年齢は? 仕事と幸福度の関係は? 何が私たちを幸せにして、不幸せにするのか。幸福のヒントを専門家に聞いた。AERA 2025年2月17日号より。
【図を見る】「やりがいを感じない年収700万円以上の人」と「やりがいを感じる300万円未満の人」はこちら
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幸福の研究では、人生で幸福度が低下する時期を明らかにした。中年期までの人生の幸福度は未婚既婚、男女を問わず、年代が上がるごとに幸福度は下がっていく。青山学院大学の亀坂安紀子教授が解説する。
「年をとると、次第に幸福度が低下するのは、他国でも共通します。子育てや教育費の負担、仕事の責任などが増すため、50代くらいまでは幸福度が低下することが多いです」
だが、下がった幸福度は回復するという。
「50代以降は子育て負担がなくなり、退職して仕事のストレスから解放されて、幸福度が再び高まります」(亀坂教授)
拓殖大学の佐藤一磨教授も話す。
「若い頃に想像していた大人の姿と、50歳前後の実際の自分との間にギャップを感じて、幸福度が下がりますが、年齢を重ねて自分を受け入れることで幸福度が回復します」
ただ、佐藤教授によると、ここで幸福度の落ち込みを小さくして、中年の危機を避ける方法がある。それがお金だという。
「オランダのライデン大学の研究によると、高所得層は50歳前後で幸福度の落ち込みがないまま、幸福度が上がっていきます。高い所得がある人は、満足した人生を送っているからか、50代での理想と現実のギャップに悩むことが少ないからです。さらに、お金があれば、対処できることが増えます。家事や子育て、介護といった幸福度を下げる要因を外注できるでしょう。お金があれば、解決できる問題の幅が広がるのだと思います」
仕事
仕事はどうだろう。熱意を持って仕事をしているけれど、年収が低い。仕事に興味がないけれど、年収が高い。どっちが幸せか。
内閣府によると、やりがいに関わらず、年収が高いほど「雇用環境と賃金」の満足度は高まる。
亀坂教授が注目するのはここ。やりがいを感じない年収700万円以上の人より、やりがいを感じる300万円未満の人のほうが、満足度が高いことだ。