
5年前なら確実にベスト10入りしていたと思われるのが、「〈購入・換金手数料なし〉ニッセイ外国株式インデックスファンド」(21位)。日本を除く先進国株式に投資するファンドで、運用歴も長く優秀だが、他の低コストインデックスに人気面で抜かれている。その代わりに(?)ニッセイでは「〈購入・換金手数料なし〉ニッセイNASDAQ100インデックスファンド」が大人気(19位)。米国のテック系を中心に100銘柄を買う投資信託だ。年間増加額2311億円、年間増加率718%。NASDAQ100の投資信託の信託報酬は安くて0.4%台が主流だったところ、ニッセイは0.2035%で「価格破壊」を起こしてくれた。その後「eMAXIS NASDAQ100インデックス」が同率の信託報酬に引き下げている。
今回のランキングを上原さん(前半登場のSBI証券執行役員常務・投資信託部長)に見せると、「インデックスファンドばかりでなく、個人投資家が自分の頭で考えて投資信託を選んでいる様子がうかがえて、喜ばしい」と述べた。
「信託報酬を差し引いてもお釣りがくるリターンを長年出している投資信託にきっちりお金が入っている。証券マンが重点的に営業する投資信託ばかり上位に来ていた時代を思い起こせば隔世の感があります」
年間増加率4ケタ
最後になったが、ランキングを年間増加率で見ると4ケタ増の投資信託が2本ある。「楽天・プラス・S&P500インデックス・ファンド」2889.3%、同「オールカントリー株式インデックス・ファンド」2981.2%だ。率でいうと、この2本がずば抜けている。楽天投信が自前でeMAXIS Slimのような直接運用の低コスト投資信託を作り、23年10月27日に運用を開始したのだ。
楽天・プラスシリーズは信託報酬0.1%前後。SBIにも「SBI・V」シリーズや「SBI・S」など信託報酬0.1%前後の低コスト投資信託が多くある。SBIと楽天は新NISA口座数でもバチバチに競っており、仲良しには見えない。だが、両社の熾烈な品揃え強化&手数料引き下げバトルがありがたい。健全な競争は個人投資家のメリットに直結する。(経済ジャーナリスト・向井翔太、編集部・中島晶子)

※AERA 2025年2月17日号