たけいし・けんさく(55)/ウエルスアドバイザー投資顧問部長、ファンドアナリスト。グローバルな株式市場の調査、分析を経て現職(撮影/写真映像部・山本二葉)
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 単純な純資産総額ランキングではなく「2024年に純資産総額が伸びた」のは? 今、個人投資家に選ばれている投資信託を新NISAの参考にどうぞ。AERA2025年2月17日号より。

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 新NISA1年目は低コストのインデックス投資信託が大流行。では、特に勢いのある(新たな資金が流入している)投資信託はどれなのだろう。

 まず昨年を振り返る。SBI証券執行役員常務・投資信託部長の上原秀信さんに聞いた。

「一番気になるのは成績でしょうか。24年の1年リターンで見ると、1位は『野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資)』74.1%。2位は『iFreeNEXT FANG+インデックス』70.8%。この2本は米国のテック株の躍進で特に伸びました。3位は『WCM 世界成長株厳選ファンド(資産成長型)』70.7%。日本を含む世界各国の優良株30〜50銘柄に投資する、ザ・アクティブ運用です。1位と3位は信託報酬約2%ですが、きちんとリターンで返している」

 野村の世界半導体株は09年設定、基準価額16万円台(25年1月末現在)のお化けファンド。FANG+は新NISAのつみたて投資枠の対象でもあり、この成績なので資金流入が止まらない。WCMは朝日ライフ運用だが、筆者は初めて名前を聞いた。なお、新NISAの二大巨頭「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は1年リターン40.8%、同「全世界株式(オール・カントリー)」(以下オルカン)は32.5%。

年4分配1千億円

「キーワードは成長と分配です。S&P500とオルカンは24年8月の下落時にかなり買われていました。年後半は分配金を出す投資信託が売れました」

 新NISAでは毎月分配型が対象外だが、分配金がほしい人も多い様子。9月27日に楽天証券専売で発売された「楽天高配当株式・米国ファンド(四半期決算型)」は12月末に純資産総額1千億円を突破した。3カ月でこの金額。その後12月20日に設定された「SBI・S・米国高配当株式ファンド(年4回決算型)」は、なんと20営業日で1千億円を突破した。

「日本の高配当株ファンドも人気なのですが、24年の下期はもたもたしている日本株も多かった。そこに米国株の高配当、しかも年4分配ということで一気に買われた形跡が見えます」

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2本だけで全体の25%