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「AERA dot.」に最近掲載された記事のなかで、特に読まれたものを「見逃し配信」としてお届けします(この記事は1月13日に「AERA dot.」に掲載されたものの再配信です。年齢や肩書などは当時のもの)。
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神奈川県警で、新規採用の女性警察官に制服のスカートの支給をやめることが決まった。条例改正案が県議会で可決され、2月からはズボンのみが支給される運用となる。背景には、被疑者を追いかけるなど体を張る場面もある中、スカートを着用する人がほとんどいないという実態があるが、かつては「女性警察官はスカートが当たり前」という時代もあった。神奈川県警で唯一の女性警視正であり、横浜市警察部長の寺﨑富美さん(60)に、スカートで職務にあたっていた当時の苦労を聞いた。
「昔は、女性警察官はスカートをはくのが常識でした。ズボンも1本は持っていたけど、はく機会なんてほとんどなかった。冬場にスカートで外に立っていると本当に寒くて、支給された肌色のストッキングを2枚重ねてしのいでいましたね。でも当時はそれが普通だったので、疑問を抱くことはありませんでした」
こう振り返る寺﨑さんは、1983年に神奈川県警に採用され、当時女性では異例だった交番勤務からキャリアをスタートした。配属は横浜駅近くの戸部警察署。遺失物や迷子の対応、周辺の道案内などが主な仕事だった。
暴漢や酔っぱらい相手の事案や、川から遺体を引き上げるといった力仕事の時は、男性警察官たちに「俺たちが行くから」と言われて署に残された。女性警察官はスカートに加え、「脱げやすくて困った」(寺﨑さん)という少しヒールのあるパンプスを着用していたため、危険な現場に出向くことは想定されていなかったようだ。