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コロナ禍以降、定着したリモートワーク。オフィス縮小移転やフリーアドレス化も進み、通勤時間がないことを歓迎する向きは強かった。だが今、あちこちで「出社回帰」が進んでいる。AERA 2025年2月10日号より。
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「ろくでもない方針転換だと思いました」
都内のIT企業で働く男性は、そうつぶやきながらため息をつく。約3年前、遠方に住む妻と同居するために転職を決意。転勤する可能性の高い妻に合わせられるように、「永久フルリモート」をうたう今の勤め先に入社した。在宅を中心に働くのは初めてだったが、すぐに「自分に向いている」と実感した。
ところが、ある日「出社回帰」の号令がかかった。
「コミュニケーションを円滑にして生産性を上げるために、週の半分以上は出社することになりそうです。ただ、会社から具体的な説明はなく、要領を得ませんでした」
当然、社内には不安と不満が広がった。郊外に家を買っていたり、地元で親の介護をしていたりといった事情から、転職を真剣に検討しはじめた同僚もいるという。
新型コロナウイルス感染症の世界的流行によって、一気に拡大し、定着したかにみえるリモートワーク。しかし最近、多くの企業で「出社回帰」が進んでいる。
中でも話題になっているのは、LINEヤフーだ。フルリモートワークを掲げていたが、昨年12月に制度改定を発表。2025年4月以降、カンパニー部門に所属する社員は原則週1回の出社、カンパニー部門以外(開発部門、コーポレート部門など)に所属する社員は原則月1回の出社が予定されている。さらに、今後出社頻度を増やしていくことも検討しているという。
同社のように方針転換をする企業は増えている。その理由は、コロナ禍の終焉以上に、リモートワークによるコミュニケーション不足を課題とする傾向があるようだ。
AERAが1月に実施したアンケートでも「ちょっとしたコミュニケーションのロスの蓄積が、仕事によっては大きな影響となってしまっている。信頼関係の構築も難しくなる」「仕事を振られても受け身の部下が増えた。部下の管理ができず悩んでいる」などの声が寄せられた。