AERA 2025年2月10日号より

 オフィスであれば立ち話で済むような確認も、メールだといちいち時間がかかって、不便なこともある。都内でシステムエンジニアとして働く男性(40)は、こう語る。

「勤務先では、無制限にリモートワークが認められています。とはいえ、業務が立て込むと週4日出勤することもあります。やはり、トラブルが起きた際はすぐに話し合えるオフィスのほうが、時間を無駄にせず対応しやすいです」

 一方、リモートワークという働き方に慣れた社員にとっては、出社が増えるのは負担でしかない。

 都内の電気機器メーカーに勤める男性(32)は、「出社時間にも、業務に必要のない人間関係にも悩まされることなく、自分のペースで仕事ができるリモートワークの時代に生まれてこれて本当によかったです。満員電車に押し詰められて、具合を悪くしながら出社していた頃には戻りたくありません」と話す。

 子育て介護などをしている人にとっては、リモートワークの制度があるからこそ仕事を続けられる人も多い。地方の公立病院で研究者として働く女性(41)は、こう語る。

「私は公務員なので、リモートワークができないんですよね。幼い子どももいますが、勤め先もリモートワークを推奨するようなことはありません。ただ、夫が月1回程度の出社のため、気持ち的に余裕はあります」

 出社することで、逆に生産性が下がる、と懸念するのは冒頭の男性だ。

「働き方や仕事の過程が見えづらい在宅勤務においては、成果物の良し悪しが唯一の評価基準になります。なので、出社時よりも集中して仕事ができていることに気づきました。もちろんサボる人もいるとは思いますが、在宅のほうがパフォーマンスを発揮できる人がいることも知ってほしい」

(編集者、ライター・千駄木雄大、編集部・福井しほ)

AERA 2025年2月10日号より抜粋

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