コロナ禍に突入した20年以降は、支払い時に現金に触れる機会を減らしたい人が増えたため、キャッシュレス決済の普及が進んだ。スーパーマーケットなどで、いつもなら数千円の代金であれば現金払いしていたのをクレジットカード払いに切り替えたという人は多いだろう。

 国がキャッシュレス決済推進策を実行したのも20年。導入する企業や販売店は、国が機器導入の費用を補助してくれるというインセンティブがあった。その結果、キャッシュレス決済できる「場」が増えたのも比率増加の大きな要因だ。

 キャッシュレス決済は支払いの手段。うまく使いこなさないと、手元にお金が残らなくなる可能性がある。実際、クレジットカードの使い過ぎをコントロールできずに貯蓄ができていない相談者も少なくないのだ。

 生活に欠かせないものになった今こそ、上手に使いこなすコツを身につけたい。お金を上手に貯められる「お金持ち予備軍」になるため、裏返せば「キャッシュレス貧乏」にならないために「絶対やってはいけない三つのこと」を伝授する。

【絶対やってはいけないこと】その1

●決済手段が4~5種類以上ある

 決済手段は「お金の出口」なので、出口が増えると管理が煩雑になり、「何にお金を使ったのか分からない」状態になりやすい。

 決済手段がクレジットカードしかない時代に筆者が手がけた家計診断では、ポイント欲しさにクレジットカードを4~5枚持っている人は家計管理がうまくいかず、貯蓄できていない傾向があった。近年は、これに交通系電子マネーやQRコードの決済アプリの登場で、決済手段がさらに増えた。

 筆者の元に相談に来る人には「年間決算シート」で費目ごとに支出をまとめてきてもらうのだが、キャッシュレス決済の手段が4種類以上の人は、支出を振り返る作業ができていない。特に事前にお金をチャージしてから使う電子マネーやQRコードで支払った場合は、ほぼ使途不明金…。

 さらによくないのは「1カ月にいくら使ったのか把握できていない」状態に陥ること。複数の決済手段に残高が減ったらお金をチャージすることを繰り返していると、何がなんだか分からなくなる。

 家計管理が上手でお金が貯まる「お金持ち予備軍」になりたいなら、お金の出口は増やさないこと。クレジットカードは1~2枚、デビットカード1枚、電子マネーかQRコード決済はいずれか一つに絞り込むのがいい。

暮らしとモノ班 for promotion
台風シーズン目前、水害・地震など天災に備えよう!仮設・簡易トイレのおすすめ14選
次のページ
クレカの請求明細で「絶対やってはいけないこと」が2つある