企業にとってみると、デジタル払いの方が銀行の振込手数料よりコスト軽減になるメリットがありそうだが、導入時の手間(労使協定など)や導入のためのシステム構築のコストが負担になりそうだ。導入するにしても銀行振込の選択肢は残るので、振込手数料のコストが大幅ダウンするとは考えにくい。

 ファイナンシャルプランナーとして、長年にわたり個人の家計を見続けている筆者の結論としては、給与のデジタル払いは「様子見」。現状ではデジタル払いで受け取ったお金は消費に直結しそうだからだ。貯蓄や投資をするなら、銀行口座や証券口座に移す手間が発生する。

 
 もちろん、各資金移動業者はグループ内にインターネット銀行やインターネット証券会社があったりするから、グループ内なら大きな手間はかからないとアピールするだろうが、それは資金移動業者のメリットだ。

 今、みなさんが使っている金融機関に満足するなら、お金を移す手間がかかることになる。

 今後、給与のデジタル払いを導入する企業が増えてくると、ユーザーから使い勝手やデメリット、思いがけないメリットが話題に上ってくるはずだ。そうしたリアルな情報を得てから、利用するかしないかを考えればいいと思う。

 給与のデジタル払いは、国と資金移動業者にメリットがあると言えそうだ。

キャッシュレス決済を
うまく使いこなすには?


 キャッシュレス決済は、日常生活で欠かせない支払い手段になっている。つまり「ないと困る」し、「ポイントが付く」メリットもあるので、使わない選択肢はないだろう。であれば、上手に利用したい。

 種類は、クレジットカード、デビットカード、電子マネー、QRコードで支払うスマホ決済アプリなど。冒頭に書いた通り、22年の決済比率は36.0%で、12年の15.1%に比べると10年間で約21ポイントも伸びている。

出所:経済産業省「我が国のキャッシュレス決済額及び比率の推移(2022年)」
出所:経済産業省「我が国のキャッシュレス決済額及び比率の推移(2022年)」
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【絶対やってはいけないこと】その1、決済手段が多い