「給与のデジタル払い」利用する?
FPとしての現時点の結論は…


 キャッシュレス決済の普及、利用率アップは国の急務の政策だ。キャッシュレス化が進むと、紙幣や硬貨の製造や現金輸送にかかるコストが軽減されるメリットがある。訪日外国人観光客のインバウンド需要に対応するにもキャッシュレスは欠かせない。

 国としては、まずキャッシュレス化ありき。それをさらに普及させるために、給与のデジタル払いが解禁されたのだろう。

 給与のデジタル払いが解禁されたといっても、今月から資金移動業者の指定申請が始まったばかり(解禁とは、法律上の手はずが整ったということ)だ。業者の申請を厚生労働省が数カ月かけて審査を行い、基準を満たせば指定を受けることができる。

 給与のデジタル払いを導入したい企業は、指定を受けた資金移動業者を選定し、事業場ごとに労使協定を締結する必要がある。このようにいくつものプロセスがあるため、実際に実現するには1年近くかかりそうだ。

 では、勤務先がデジタル払いをするとなったら、みなさんは利用するだろうか。人が物事のやり方を変えるのは、「困っているとき」か「特典をもらえるとき」だ。特に困っていない、メリットがないときは動かない。

 多くの人は、給与を銀行振込で受け取ることに問題は生じていないだろうから、困っていない。では、デジタル払いされると何かいいこと(特典)はあるのだろうか。

 メリットを考えてみたが、「決済アプリへダイレクトに入金されるため、銀行口座から資金を移す手間が省けること」の一つしか思いつかなかった。審査の通った業者が複数出そろったところで、導入キャンペーンとして「給与をデジタル払いにするとポイント付与」といった特典が付くかもしれないが、現状では分からない。

暮らしとモノ班 for promotion
【フジロック独占中継も話題】Amazonプライム会員向け動画配信サービス「Prime Video」はどれくらい配信作品が充実している?最新ランキングでチェックしてみよう
次のページ
FPとしての結論は、給与のデジタル払いは「様子見」