年末年始はテレビに出ない理由

 03年に芸人デビューした狩野は、フジテレビが生んだショートネタ番組「爆笑レッドカーペット」でブームに乗り、ブレーク。以後、不祥事で謹慎した期間を除くと、継続してテレビに出ており、ずっと“売れ続けている”状態だ。その理由を民放バラエティー制作スタッフはこう分析する。

「最初はナルシストキャラで『ラーメン・つけ麵・僕イケメン!』だけが武器という、誰が見ても一発屋芸人の急先鋒(せんぽう)でした。それが、根っからの生真面目さや育ちの良さがお茶の間に知られるようになると、かわいげのあるポンコツ芸人として人気が出始めました。その流れで永遠のリアクション芸人“出川哲郎枠”にスポっとおさまり、稀代のイジられ芸人として大ブレークしました。狩野はイジられた時のリアクションやドッキリ企画で高頻度でミラクルを連発するので、レギュラー番組が多くないのに継続してテレビには呼ばれ続けるという、奇跡のような芸人と言えます。実家が1500年続く神社というのは有名な話ですが、自身も神主の資格を取り、神職もしっかりこなしています。近年、年末年始は神職優先でテレビの仕事を入れないと語っており、そうした点も視聴者から好感を持たれている要因だと思います」

 一方で、狩野のもうひとつの“支持層”はゲーマーだ。20年からゲーム実況をメインとしたYouTubeを始め、今やチャンネル登録者数は220万人(2月5日時点)と芸人のなかでもトップクラスの人気を誇っている。

「狩野さんはYouTubeでも言い間違えや誤作動などのミラクルをたびたび連発させており、“神回”としてたびたびニュースになります。狩野はゲーム『マインクラフト』の実況が多いのですが、同ゲームはプログラミングの基礎が学べるとあって、教育的な側面でも評価されています。キッズ人気はもちろん、親世代から見ても『安心して見せられるゲーム実況』となっているのです。また同ゲームは今年映画で実写化されるのですが、狩野はナレーションに抜擢されています。若い頃と違い、今の狩野は親子で楽しめる芸人として認知されているので、今回の新番組起用は意外と当たるのではないでしょうか」(前出のスタッフ)

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ひたむきさこそが最大の魅力