バブル崩壊後の就職難を経験し、いつの時代も競争にさらされてきた40代半ば~50代半ばの氷河期世代。定年退職後の次なるキャリアを見据えた、いわば「セカンド就活(セカ就)」が迫っている。AERA 2025年2月10日号より。
* * *
まずは氷河期世代が置かれている現状を整理しよう。
1990年代前半、バブルの崩壊で景気が一気に落ち込んだ時期に就職活動を迎えたこの世代は、企業が新卒採用を絞る中、激しい就職活動競争を余儀なくされた。
希望する職種に就けぬまま、非正規雇用で社会人をスタートした人も多い。大手の企業では初任給が30万円を超え、引く手あまたの今と比べると、隔世の感がある。
厳しい就職戦線を経て社会人になったものの、その後の日本経済は長きにわたる低成長時代に突入。賃金も思うように上がらず、「失われた30年」とも呼ばれた。
そんな中高年の世代も、定年退職後のキャリアをどうするかを真剣に考えだす時期になりつつある。退職金を得て、悠々自適な老後を過ごせたのは昔のこと。どうやら厳しい現実が待っているようだ。
延び続ける日本人寿命
人生100年時代となり、日本人の寿命はなお延び続けている。老後2千万円問題が話題になったように、定年退職後もある程度の生活資金は必要だ。年金だけでは心もとない。定年後も何らかの仕事を続けて、一定の収入を得ようと考えている人は多い。
しかし、これから定年を迎える人をがっかりさせるようなデータがある。定年退職後、働いていた企業に再雇用された人たちにアンケートしたパーソル総合研究所(東京)の調査結果だ。
再雇用された人たちで、「年収が上がった」と回答した人は2.2%。「定年前とほとんど変わらなかった」が8.0%にとどまり、「50%程度下がった」が22.5%、「50%より下がった」が27.6%だった。この調査は2021年のものだが、2人に1人が、50%ほど年収が下がることになる。
「仕事があるだけいいのでは」と感じる人もいるだろう。しかし、同研究所はもう一つのデータを示す。