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仕事の内容をたずねたところ、55%と半数を超す人が「定年前とほぼ同様の職務」と答えている。再雇用の上限は65歳だったり、70歳だったりするが、「仕事は同じで、年収は半分以下」という厳しい現実が待ち受けている。
人手不足だから転職すればいいと思うかもしれないが、転職もそう甘くはない。
迫る「大定年時代」
団塊ジュニアと重なる氷河期世代は人口が最も多い世代でもある。2040年には団塊ジュニアが65歳以上になる「2040年問題」が取りざたされている。
多くの人が一気に定年を迎える「大定年時代」が迫る中、定年後でさえ、少ないイスを奪い合う生存競争が待ち構えているのだ。
事務系の職業、いわゆるホワイトカラーに就こうと思うなら、激しい競争は避けられない。
AIを代表するデジタルテクノロジーのめざましい発展は、生産性を向上させる一方、人間がしていた仕事を奪い、結果、企業は雇用を抑制するというリスクを抱える。AIに代替される仕事は事務系が多い。このため、事務系の新たな就職先を見つけるのは、これまで以上に困難になりそうだ。
50代後半の筆者が、試しに就職支援会社を通じて、職を探してみた。出版業界を含めて、お目当ての職はヒットせず、ときどき届くオファーのメールは、だいたいが警備員やタクシー運転手などのエッセンシャルワーカーやそれに近い仕事だった。
定年後は、いやがおうにも体力が衰えるにもかかわらず、介護や清掃、警備、建設といった体力がいる職種は働き手が足りないというミスマッチが生じている。
ここまで読むと、ため息をつく人もいると思う。でも決して悲嘆する必要はない。定年後を見据えてキャリアアップをめざす「セカ就」を今から始めればいいのだ。
雇用やキャリア形成に詳しいジャパン・リスキリング・イニシアチブの代表理事を務める後藤宗明さんは、「今後、需要の高い仕事に就ける新たなスキルを身につけるリスキリングで準備することが大事です」と明快だ。
そのうえで「できれば今、働いている会社の中で準備し、ぜひその会社で『FA宣言』できるような状況をめざしてほしい」とエールを送る。