大谷の専属通訳として常に付き添っていた水原被告

「通訳としては破格の待遇です」

「米国で通訳が選手の身の回りの世話をサポートするのは、大谷だけに限った話ではありません。僕も選手のトレーニングをサポートしてデータを作り、グラウンド外でもスーパーで食料品を買って料理を作り、選手が行きたい場所に送り迎えし、家族が来た時のエスコートなど通訳以外の仕事をしていました。日本で通訳をしていた時に比べて忙しかったけれど、やりがいを感じました。

 水原さんがオフシーズンの業務にストレスを感じていたなら、大谷と話し合えばいい。記事で見ましたが、大谷からポルシェをプレゼントされ、歯の治療という名目で6万ドル(約900万円)を受け取っている。十分に厚遇されていたと思いますよ。物価が高い米国での生活を考えると、エンゼルス時代に年俸8万5000ドルで大谷の自宅近くの高級住宅街に住んでいる時は金銭面の余裕がなかったかもしれません。でも、その後は年俸が増え、ドジャースでの年俸は8000万円近かったといいます。通訳としては破格の待遇です。生活が苦しいからギャンブルに手を染めたという理屈は無理があります。何十年も大谷の通訳をするわけではないし、嫌なら辞めればよかっただけの話です。あまりにも自分勝手な考えに落胆しました」

 過酷な労働で低賃金だったという主張には、米国駐在の通信員も首をかしげる。

「食事の送り迎えといっても、大谷はシーズン中にほとんど外食に行きません。犬を獣医やトリミングに連れていくことも頻繁ではないでしょう。大谷はしっかり睡眠をとることでも有名です。水谷被告は日本にいる関係者とやり取りする際に、時差の関係で深夜に対応して睡眠不足になったことはあるのかもしれませんが、『毎日24時間体制の過酷な労働環境』だったという主張はちょっと無理があるように感じます」

 かつて日本ハムで通訳を務めていた水原被告は、大谷が日本ハムからポスティングシステムを利用してメジャーに挑戦する際、専属通訳として一緒に海を渡った。当時の球団関係者はこう振り返る。

「ちょっと意外に感じたんですよね。彼は通訳としては優秀ですが、気の利くタイプではない。大谷の身の回りのサポートができるかなと。だから大谷のサポートをきっちりこなしている様子に凄いなと感じていました。ただ、こんな形で信頼を裏切る形になってしまって……」

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