「Global kids英語会」は15年前に生徒数人で始め、今では年長から大学生まで150人ほどの生徒を抱える。これを運営する株式会社ダイバース・キッズの代表取締役社長の豊田朋子氏は「受験英語は一切やらない」と力説。その学習成果発表として、年1回、スライドを使用したShow and Tellの本格的なプレゼン大会を開催。
「現況の受験英語だけでは、発信力がつかないばかりか、むしろ英語嫌いを増やすだけです。膨大な時間と費用を費やし、これだけ英語が使えない民族は、世界広しといえど、日本人だけでしょう」
日常茶飯事の光景
筆者はアメリカに20年近く住み、学生生活も日米両方で経験している。娘もNY生まれでマンハッタンの学校で教育を受けているが、授業でShow and Tellは日常茶飯事の光景である。これは自分の経験や関心のあるテーマをみんなの前でプレゼンすることであるが、まさに私が見学した英語プレゼン大会で行われたことだ。
さらに生成AIが発達して、DeepL翻訳やGoogle翻訳など機械翻訳があるので、英語はそれほどできなくてもいい、という超楽観主義者もいるが、それは深刻な間違いだ。普段英語で取材をしている筆者もときどき機械翻訳がどこまで正確か、自然な言語であるかを調べるために使うことがあるが、DeepLでもGoogle翻訳でも“I like dog.”と入力すると、“私は犬が好きです”と出てくるので、話にならない。犬が好きであることを言う場合は、“I like dogs.”と複数形にしなければならない。“I like dog.”は〈犬の肉が好き〉という意味である。これほど単純な英文でも正確に訳せないのだから、機械翻訳を通して出てきた翻訳がどれほど正確で自然な英語であるかを判断するには、ネイティブ並みの英語力が必要である。皮肉にも機械翻訳があることで、さらに高度な英語力が必要になっているのである。