AERA 2025年2月3日号より

 日本人が小さいころから英語をやることにいまだに反対する人がいるが、その理由の一つが日本語という母語をきちんとやってからでないと混乱するというものである。世界をみるとバイリンガルや3カ国語以上話す人は60~70%くらいいるが、アメリカや日本のようにモノリンガルの国の方が少ないことを日本人は案外知らない。聴覚の点で言うと豊田氏は「当会では英語圏の子どもたちに読み書きを教えるために開発された『フォニックス教授法』を採用している。聴覚が柔軟な小学校低学年から始めることで、難しい発音も聞き分けられるようになり、リスニング力も向上する」と言う。さらに「フォニックスは〈読む〉〈聞く〉〈書く〉〈話す〉の4技能を起動できるソフトのようなもので、それを装備すれば、小学生でも英字新聞の音読が可能です」と自信を見せる。中高生クラスは、NYでの記者経験もある豊田氏が担当し、時事英語プログラムを実施。「テーマは小学校低学年では趣味や家族など個人的な経験ですが、学年が上がるにつれ、SDGsや動物保護など社会的なテーマへとシフトする。中高生になると政治、文学、気候危機、ジェンダーなど多岐にわたる」と語る。国際舞台でプレゼンする際に欠かせない、ノンバーバル(非言語)表現のトレーニングにも取り組んでいるというから、まさに欧米のノームを日本で実践しているということだ。それにはジェスチャー、聴衆へのアイコンタクト、声の大きさ、トーンの調整、表情などが含まれる。私がプレゼンを見学して驚いたのはきれいな発音である。それは小学校低学年からフォニックスを積み重ねてきたからであろう。

 二人の子どもをGlobal kidsで学習させている波多野夫妻に話を伺った。

「仕事で英語のコミュニケーションに困ることも多く、子どもたちにだけはそんな苦労をさせたくないと思い、耳から自然に英語が入るメソッドを持つ、こちらの教室に通わせることにしました」と金融関係に勤める父親の敏之氏(44)は述べる。母親の麻妃さん(43)も、「とにかく英語を楽しみながら上達できているのが良いと思います。今日のプレゼンでも娘たちの成長を実感できました」とほほ笑んだ。また東大文IIIの2年生で同スクールの講師を務める万代千尋さん(20)は、「私は小3までシカゴの小学校で過ごしたので、発信力、フォニックスの大切さは、よく理解しています。大学生になり、英語講師のバイトを探しましたが、文法中心の英語塾ばかりで、私の理念に合う塾がGlobal kidsしかありませんでした。ここで教えていると、帰国子女として、日本の英語教育に対してずっと感じていた違和感が吹き飛び、やり甲斐に満ちてきます」と述べる。

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