東大とハーバード大を比較し、日本のジェンダー格差の視点から自身の東大進学希望理由をプレゼンした篠川心音さん(高1)。Global kids英語会主催、プレゼン大会2024で。スライド文字は観客が理解しやすいよう日本語で(写真:横関一浩)
この記事の写真をすべて見る

 落ち続ける日本の英語力。受験勉強では体得しにくい発信力が特に課題だ。AERA 2025年2月3日号より。

【写真】中学生!?若者の政治参加と幸福感の関係について語った大島さん

*  *  *

 語学学校を世界展開する企業「EFエデュケーション・ファースト」(本部スイス)が昨年11月に発表した英語圏以外の国・地域の2024年版「英語能力指数」で、日本は過去最低の92位に転落した。一昨年は87位であったが、さらに五つ下落し、英語力が低い地域(62位から92位)では最下位である。調査対象は116カ国・地域で、オランダが6年連続で首位を維持。2位はノルウェー、3位はシンガポールである。日本は韓国やベトナム、インドネシア、中国などを下回り、アジア23カ国・地域でも16位に沈んだ。

 この数字は何を示しているのか。世界的な道徳平和活動MRAや難民を助ける会で活動した初の国際NGO出身の政治家である藤田幸久氏は「週刊NY生活」でこう述べている。

「この〈英語力92位〉が示しているのは、自らの理念を持ち、異なる理念や文化を持つ人と本音のコミュニケーションが取れ、多様でグローバルな思考ができる国民とリーダーを生み出す場を自ら閉ざしている日本の姿です。(中略)国民が自分で考え、行動し、国家が長期的、戦略的な舵取りを担うStatecraft(政治的手腕)の欠如が根底にあると思います」

意欲と好奇心が重要

 思想家の内田樹氏も『サンデー毎日』(2018年3月25日号)に〈東大OBが語る「日本の教育と大学の未来」〉でこう警鐘を鳴らす。

「記事(Foreign Affairs Magazine2016年10月号)は日本の大学に著しく欠けているものとして〈批判的思考〉〈イノベーション〉〈グローバルマインド〉を挙げていました。記事によれば〈グローバルマインド〉の定義は〈世界各地の人々とともに協働する意欲。探求心、学ぶことへの謙虚さ〉という。問題は英語が話せるかどうかといった技能レベルのことではありません。ついでに申し上げると、過去30年で英語力も著しく低下しました。(中略)日本の学生に際立って欠けているのは、一言で言えば、自分と価値観も行動規範も違う他者と対面した時に、敬意と好奇心をもって接し、困難なコミュニケーションを立ち上げる意欲と能力だということです」

次のページ
驚きのプレゼン力