阪神OB会長の掛布氏
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 阪神の掛布雅之OB会長が1月21日に大阪市内であった甲子園歴史館の運営会議に出席した際、鳴り物応援をやめ、打球音や選手が発する声を楽しむ「無音試合」を提案したことが話題になった。

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 報道によると、掛布氏はコロナ禍で無観客試合となった時、鳴り物応援がなくなって打球音が甲子園に響いたことに言及。「4万数千人が入る甲子園球場で、打球音が聞こえるような雰囲気の中で野球やったこと、今の選手ってないと思うんだよなあ」と言い、「それを甲子園球場のファンの方たちが(鳴り物応援をやめて)演出したらすごくいい野球が見られるんじゃないかなと。オールドファンも喜ぶんじゃないかな」と提案した。

 掛布氏は現役時代に甲子園の大声援を背に受けて、阪神の4番打者として活躍した。応援の魅力を十分に理解している一方で、野球の醍醐味やプロ野球選手の凄みを音で味わってほしい思いがあったのだろう。掛布氏がさらに、「佐藤(輝)が打ったホームランとか、子供たちも『こんな音がするの』って思うと思うんだよね。選手が音をファンに聞かせてあげる、そういうゲームがあってもいいんじゃないですか」と思いを語ると、粟井一夫球団社長は「そのアイデアを生かして形にはしてみたいなと。今年間に合わなくても来年でもいいじゃないですか」と導入に前向きな姿勢を示したという。

 掛布氏の異例の提案に、SNSではファンからの賛同の意見が多く見られた。

「コロナ過で無観客で鳴り物が無かった時に、投げる瞬間や打つ瞬間の選手の声や守備連携の掛け声等、普段聞こえなかった音が聞こえてきて、普段の野球観戦とは違って新鮮だった記憶がある。サイレントデー?みたいに、特別な日として試験的に催してもいいかも」

「プロでも声の連携は当然あって、『野球に声は必要』ということが子供達にも伝わる。ぜひ、多くの球団で企画してほしい」

外国人選手を驚かせる日本の鳴り物応援

 日本のプロ野球は鳴り物の応援が定着し、その雰囲気を楽しむファンが多い。だが、メジャーリーグでは鳴り物で応援する文化がないため、来日した際に独特の応援スタイルに驚く助っ人選手も少なくない。2023年3月にWBCの東京ラウンドが開かれた際、来日した外国メディアたちの間で話題になったのは日本の鳴り物応援だった。

「メジャーリーグでは見られない光景で、ライブ会場みたいでした。米国は野球観戦、日本は応援をするために球場に来ているお客さんが多い。韓国、台湾の応援も音楽を掛けてにぎやかですし、アジアの国は応援を含めて野球という文化を構築しているように感じました」(米国人のスポーツライター)

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選手によって打球音は違う