「警察が身分証の偽造をしなければ犯人を捕まえられなくなったというのは、犯行グループ側に『指示役逮捕の切り札がない』と言っているのに等しい。手の内を全て明かしているようなものだ」
石破茂首相は昨年12月17日に開かれた犯罪対策閣僚会議で、「仮装身分捜査も活用した徹底的な取り締まりをする」と語った。春までにはもろもろの整備を終えたい考えのようだが、前出の園田名誉教授は、この点についても厳しい見方を示す。
「まだまだ議論しなければいけないことは山積みだ。例えば、闇バイトの一環で、もう犯罪に加担したくないと考えていた人が、警察の働きかけによって罪を犯してしまうケースも出てくる可能性がある。実際に指示役に脅され、やむを得ず闇バイト関連の事件の被告人になってしまう場合も少なくはない。警察が犯意を助長したとされる場合、起訴された彼らはどう処分されるのか」
各メディアが大々的に雇われたふり作戦と報道し、身分証の偽造などの手口も表に出てしまった以上、犯行グループも警戒感を強める気がするのだが、果たしてさらなる秘策でも準備されているのだろうか。
(AERA dot.編集部・板垣聡旨)